99年のインタビュー。ワールドサッカーダイジェストに話したものです。
多分、欧州選手権の予選がだいたい結果が見えてきているような話をしているので、秋ごろのインタビューかと。

すっごい突っ込み入れたいんですけど(^_^;)、まずはさらっと。ただし太字あり(爆)
できるだけ、原文のままにしてあります。だから、訳のセンスは私とはちょっと違う(笑)。
それから、少し長いです。雑誌のページ数にして3ページにわたるインタビューなので。

では心してGO


Q:君はブンデスリーガで唯一のフランス代表選手だ。2年前、バイエルンと契約した時、
フランスの仲間はどういう反応を示した?


LIZA:みんなもすごく喜んでくれたよ。なにせバイエルンは世界的に知られたクラブで、
ヨーロッパでもベスト6に入る強豪だからね。そんなビッグチームからの誘いを断る手はないよね。
僕にとっても大きなチャンスになるんだから。


Q:慣れ親しんだ土地を離れてミュンヘンに移ることに友人達は驚いたそうだね。
「海とマリンスポーツがない土地へ、リザが行けるわけがない」って。

LIZA:僕はバスクの出身だ。そこは海(大西洋)と山に囲まれた自然が豊かな場所で、
夏はサーフィン、冬になればスキーができるんだ。父が潜水夫だったこともあって、
僕はとくに海が好きだった。ボルドーの環境は故郷とよく似ていたな。海の眺めも一緒だった。


Q:ボルドーを離れるのはすごく辛かったと聞いているけど?


LIZA:気持ちを整理するのにかなり時間がかかった。本当に居心地が良かったからね。
でもボルドーはいいチームだったけどタイトルとは無縁で、パフォーマンスも決して
トップクラスとはいえなかった。それでフラストレーションを感じていたんだ。
あのままやっていても、満足な生活は送れただろう。だけど、プロサッカー選手としての心が
移籍を望んだんだ。ところが、期待して移籍したビルバオも、とても一流とはいえないお粗末なクラブで、
雰囲気も気に入らなかった。それで、「フランス流の生活と文化は全て忘れろ。
持てる力を最大限に出せる最高のレベルで挑戦するんだ」って決めたんだよ。
こうして今に至ったわけさ。
お金のためにバイエルンに来たんじゃない。よりより生活のためにバイエルンに来たんじゃない。
ドイツが親切な国だから来たんじゃないんだ。タイトルを獲り、
サッカーで成功を収めたいから来たんだ。

Q:でも、97年夏、ミュンヘンに初登場した君を見た観客は、「これはボルドーやトリコロールで
見ていたリザと違う」と、がっかりした。


LIZA:フィットさえしていれば、本当の実力を披露できたんだけどね。期待に添えるようなプレイが
出来なかったから、「偽者をトレードさせたのか?」って騒がれたよね。でも言い訳なんかできなかった。
いくらしゃべったってピッチの上で結果を出さなければ、誰も聞く耳は持たないから。

Q:ボルドーにはユース時代も含めて15年間在籍したんだよね。若い選手には、
ひとつの環境に長くいることが大切なんだろうか?


LIZA:若いうちは、ひとつのクラブでじっくりと育ててもらうことだ。頻繁に移籍なんかするもんじゃない。
いくら魅力的なオファーがあったって、そんなに報酬に違いがあるわけではないからね。
成長過程であちこちチームを移るのは危険だ。20代後半になって移籍したって、決して遅くはないよ。
フランスのユース育成プログラムは、パリ・サンジェルマンとマルセイユを除けば、非常に優れている。
才能ある選手には必ずといっていいほど、プロチームにチャレンジするチャンスが
与えられているんだ。実際、こうして毎年かなりの数の若手がプロデビューを果しているし、
フランス・リーグにおける新人のデビューの割合は、イタリアやスペイン、イングランドなんかと
比べても断然高い。

Q:ドイツで唯一のフランス人選手ということで、なにか不自由は感じている?寂しくなるとか。

LIZA:国外で生活していれば、大なり小なり問題が出てくる。文化や習慣が違うわけだからね。
そういう意味では。バルセロナやレアル、ユヴェントスやミランに行ってもまったく同じさ。
3日ごとにゲームをこなし、ホテルに泊まり、飛行機に乗り、バスに乗って、スタジアムへ・・・・・・。
トップクラブだったらどこでも同じリズムじゃないか。イタリアだろうがスペインだろうがドイツだろうが、
大きな違いはないよ。

Q:だけど国によってメンタリティーはかなり違うだろ?ボルドーには海があったし。

LIZA:ドイツの生活スタイルは、たしかに僕の想像とは違っていた。でもビルバオだって、全部が
僕のメンタリティーと合っていたわけじゃない。フランス流の生活が最高だなんて言いたくないし、
国民性とかを気にしていたらドイツには来なかったさ。重要なのは、バイエルンでいいサッカーをし、
いい成績を残すことなんだ。

Q:家族はミュンヘンにいるの?

LIZA:妻と息子はボルドーにいるんだ。慣れた環境がいいだろうって、帰らせたんだよ。
だから、いまは休日にしか会えない。ただ、バイエルンのようなトップチームにいたら、すべて
望みどおりの生活なんてできないさ。
引退して十分に時間が取れるようになったら、好きなことをするけど。

Q:ミュンヘンで選手生活を終えるのかい?

LIZA:わからない。まだまだサッカーで学ぶことはたくさんあるしね。それでも、いまのところ、
バイエルンを離れる理由は何もない。チームは勝ちつづけているし、ファンも僕を
支持してくれている。すべてがうまくいっている感じだ。ビルバオではそうじゃなかった。
監督との関係も最悪で、僕はまるで10歳の子供のように扱われた。
人の意見を押し付けられるのはまっぴらだ。
僕は自分の頭で考え、自分の仕事に没頭したいんだ。バイエルンでは、それができるんだよ。

Q:ドイツ語はどう?

LIZA:まだまだ。英語とスペイン語はできるけど、ドイツ語は簡単じゃないな。

Q:じゃぁ、ミーティングの内容はわからない?

LIZA:サッカーに関係したことだったら、半分くらいはわかる。それに、どうしてもわからなかったら、
ミーティングのあとで監督と1対1で話すんだ。英語でね。

Q:ドイツのスタイルに慣れるまで時間がかかった?

LIZA:僕はいつも4バックの左サイドでプレーしていた。
ドイツだと多くのチームが3-5-2のスタイルだ。
だからこのシステムを理解して、どういうタイミングで周りと連携をとったらいいか、
慣れるのにちょっと時間がかかったよ。いまでは守備に関しても問題はない。
僕は攻撃的な中盤じゃなくて、ディフェンシブなサイドバックだ。

Q:トラパットーニからヒッツフェルトに監督が代わって、なにか影響があった?

LIZA:ヒッツフェルトとはいい関係だよ。昨シーズン、トラップのもとで目立った活躍が
できなかったのは、決して彼のせいじゃない。自分に怪我があったのと、代役のタルナトが
僕が抜けた穴を充分すぎるほど埋めたからなんだ。
今シーズンは開幕から好調だったし、全てがうまくいっているよ。

Q:ワールドカップのメンバーに選ばれるように、バイエルンの会長、副会長、
マネージャー、監督の4人がジャッケ監督に働きかけたというのは本当?


LIZA:ああ、そのとおりだ。ジャッケ監督はまずリミットを通告してきた。98年2月までにバイエルンで
プレーしてなかったら、ワールドカップのメンバーに加えないってね。それでチームと一緒に解決法を
探ったんだけど、そのときのバイエルンは実に協力的だった。コンディション調整の綿密な
スケジュールを組んでくれたおかげでレギュラーに返り咲くことができ、ワールドカップにも
間に合った。ただ、"ロビー活動"をしたからポジションを獲得した、なんていわれたくはない。
あくまでハードワークで勝ち取ったものなんだ。この件に関しては、自分自身を褒めてやりたい。
バイエルンには感謝でいっぱいだけど、自分にも感謝の言葉を贈りたい。

Q:バイエルンで君ほど熱心に練習する選手はいない。
ドイツ最大の"モンスター"ともいわれているけど。


LIZA:解剖学、心理学、精神医学、栄養学を大学で勉強したんだ。
健康管理に真剣に取り組むようになったのは、数年前の怪我がきっかけだった。
そのときから、生活態度を改めることにしたんだ。

Qバイエルンのほかの選手は、トレーニングが終われば家に帰るかソファーに横たわるか・・・・・・。

LIZA:……。安静にしたいのなら、それが最良の方法だ。フィットネスには"正解"がないから、
自分にあった方法は自分で捜さなければならない。幸い、僕はそれを発見したけど、
それが他人に合うかはわからない。

Q:ワールドカップ優勝で、何か変わった?

LIZA:もちろん!!フランスでの僕達は、まるで神様のような扱いだよ。外出するのも大変だ。
だってみんな、「見たい、話したい、サインが欲しい、一緒に写真が撮りたい」でしょ?
ファンレターもすごくて1万通も届いたんだ。今でも毎日150通くらいもらうよ。

Q:98年7月12日のことをもう一度思い出してくれる?

LIZA:まず、ワールドカップを手にしたときだけど、心の中で、
「おい、おまえはワールドカップを獲ったんだぞ」って自分に言い聞かせたんだ。
まったくすごいことだよね。これは一生に一度味わえるかどうかってことなんだから。
それも、フランスで、家族と友人が観ている目の前で勝ったんだよ。すごく嬉しかったな。

Q:FIFAのブラッター会長が2年おきのワールドカップ開催を提案したけど、どう思う?

LIZA:キャビアも毎日食べていれば、いつかチーズか卵のように感じてしまうだろう。
2年ごとの開催もこれと同じで、ワールドカップの価値を落としてしまうはずだ。
個人的には、ビッグクラブとFIFAの間にある政治的な問題だと思う。
どちらもいま以上の権力とマネーが欲しいんだ。
ブラッターの発言は多分に"牽制"の意味があるだろう。
もし実現したら、サッカー界にとってはマイナスだ。

Q:選手にとっても?

LIZA:ワールドカップやヨーロッパ選手権のような大きな大会が毎年のように開催されたら、
過密日程になってそれこそ休みがなくなってしまう。十分な休養を取れなかったら、
身体に大きな負担がかかるし、怪我の回復も遅くなる。

Q:ワールドカップでのプレッシャーは想像を絶する。肉体的にも精神的にも選手はヘトヘトになって、
今シーズンはロナウドやジダンも精彩を欠いている。ところが君は好調だよね。


LIZA:知ってのとおり、昨シーズンは怪我のために6ヶ月もプレーできなかった。
それに、僕はプロとしてまだ2つしかタイトルを獲った経験がない。
去年のドイツ・カップとワールドカップだ。だから、「タイトルは獲った。もう十分だ。休みたい」なんて
"満腹感"に浸ることもないんだよ。
僕はまだまだタイトルに飢えていて、それが活力源になっているんだ。

Q:ワールドカップが終わって、フランス代表に何か変化は?

LIZA:選手同士のつながり、仲間意識が強くなった。
ただ、いつまでも余韻に浸っているだけでは進歩はない。
チームはもう、次のことを考えている。ヨーロッパ選手権(の予選)もいよいよ佳境を迎えるけど、
本大会では期待してもらっていいよ。

Q:世界チャンピオンはヨーロッパ選手権でも優勝候補ってわけだ。

LIZA:どのチームもフランスをたたこうとするのはわかっている。
だけどこれが、僕等のモチベーションにもなっているんだ。

Q:ジャッケ監督がチームを去った。メディアから痛烈な批判を受けながらも十分な準備を整えて、
フランスを世界一に導いた。"勝利の父"への思いは特別だろう?


LIZA:ジャッケはワールドカップのかなり前から、大会が終わったら辞めると決めていた。
「最良の準備をしてチャンピオンになる」と語り、その通りになったけど、いったいどれだけの人間が
こんなことをできると思う?まったくすばらしい人だよ。監督を退いたいまは、若い世代を見たり、
戦術の研究と才能発掘に忙しいようだ。彼にあうといつも嬉しくなる。でも、いまは前に目を向けないと。
自分たちで築いた資産を背負い、僕達は来年のヨーロッパ選手権に目標を定めている。

Q:サッカー以外で何か目標はある?

LIZA:冒険、かな。ヨットで世界一周なんてしてみたいね。
大西洋の波がどれだけ高く、危険かわかってるけど、
一度はチャレンジしてみたいな。大西洋の高波を味わったら、次はインドネシア、ハワイ、それから・・・・・・、
とにかく世界の海に挑戦したい。

Q:海とは縁が切れないようだね。

LIZA:さっきもいったように、ずっと海の近くで暮らしてきたし、環境問題にも関心があるからね。
水の環境を守る「サーフライダー財団」っていう団体の会員になったんだよ。今は時間がないから
十分に協力できないのが悩みなんだけどね。